プログラミング的思考とは?5つの力を具体的にわかりやすく解説
小学校でもプログラミングの授業が導入され、現在ますます注目されているスキルの一つが「プログラミング的思考力」と呼ばれるものです。
しかしこの言葉、実際にはどんな考え方なのか、まだイメージがつかないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、プログラミング的思考力の意味や特徴、論理的思考力との違い、そしてプログラミング的思考力を身につけることで得られる力について、実際の授業観察事例も交えながら具体例とともに解説していきます。
プログラミング的思考力とは?

プログラミング的思考力とは、ある目的を達成するために、必要なタスクを論理的かつ計画的に組み立て、実行していく思考法です。
たとえば、プログラムを書く際には「どのような処理を」「どの順番で」「どのように組み合わせて」行えば目的が達成できるのかを、常に意識して進めます。
この考え方は、日常の課題解決にも応用できます。
具体的には、次のようなプロセスで考えます。
- 目的を明確にする
- 目的達成に必要なタスクを洗い出す
- それらのタスクを適切な順序で並べる
- 実行しながら問題を発見・修正し、改善する
このように、プログラミング的思考力とは単なる「コードを書く技術」ではなく、「目的に向かってタスクを最適に組み立て、試行錯誤しながら効率よく実行するための考え方」なのです。
論理的思考との違い

プログラミング的思考に似たものに「論理的思考力」があります。
論理的思考力もまた、問題解決に必要な重要な力です。
では、論理的思考力とプログラミング的思考力には、どんな違いがあるのでしょうか?
| 項目 | 論理的思考力 | プログラミング的思考力 |
|---|---|---|
| 目的 | 筋道を立てて正しく考える | 効率よく最適解を導く |
| 重視すること | 抜け漏れのない正確な分析 | 処理の最適な順序や改善 |
| 活用場面 | 企画、分析、問題整理など | プログラム設計、タスク処理、手順最適化など |
| 例 | 新商品開発の工程計画 | データ処理の手順設計 |
つまり、論理的思考力が「筋道を立てて考える力」であるのに対し、プログラミング的思考力はそれに加えて「効率・順序・改善」にも強くフォーカスした思考法だと言えます。
プログラミング的思考で身につく5つの力

では、プログラミング的思考を育てることで、具体的にどんな力が身につくのでしょうか?
ここでは、「犬小屋を作る」という例をもとに、5つの力を紹介します。
1. 物事を分解する力
1つ目に挙げるのは、「大きな作業を小さなタスクに分けて考える力」です。
たとえば「犬小屋を作る」という一見すると大きな作業でも、いくつかの小さなステップに分けてみると、全体像がぐっと見えやすくなります。
- 材料を用意する
- 土台(基礎)を作る
- 壁を組み立てる
- 屋根を取り付ける
- ドアをつける
このように分解することで、「次にやること」がはっきりし、作業が迷いなく進められます。
この力はプログラミングだけでなく、勉強の計画立てや、イベント準備など日常のあらゆる場面で役立ちます。
実際の授業記録では、エラーが発生した際に「Unity側の設定」と「スクリプトの処理」を分けて一つずつ確認していく、という進め方をとった場面が残っています。
原因がどこにあるかを絞り込んでいくこのプロセスは、大きな問題を扱いやすい単位に分ける「分解する力」そのものです。
家庭で様子を見る際は、エラーが出たときに「どこが原因かを一緒に絞り込めているか」が一つの目安になります。
2. 物事を組み合わせる力
2つ目は、分解したタスクを「意味のある順序で再構成する力」です。
順番が適切でなければ、作業はスムーズに進みません。作業効率や完成度を高めるには、「どういう順番でやるのがベストか?」を考える力が欠かせません。
- 材料をそろえる
- 基礎を作る
- 壁を建てる
- 屋根を取り付ける
- ドアをつける
このように順序立てて組み合わせることで、無駄なく、効率よく作業が進みます。
プログラミングでも、「処理の順序」が正しくないと、バグや不具合が発生します。
つまり、順番を考える力は「設計力」とも言える大事な要素です。
授業の記録を見ると、複雑な課題でつまずいた際に、手書きのメモでプログラムの処理順序を整理しながら進めた事例や、反対に「コードの組み合わせ方」自体に苦戦し、練習を重ねる必要があった事例の両方が残っています。
「組み合わせる力」は一度で身につく生徒ばかりではなく、順序を書き出して整理する、繰り返し練習するといった過程を経て身につくものとして観察されています。
すぐにできなくても、順序を整理しながら取り組めているかを見る視点が参考になります。
3. 物事をシミュレーションする力
3つ目の力は、実際に行動する前に「どうなるか?」を予測する力です。
これは頭の中で仮想的に試してみる「シミュレーション力」とも言えます。
プログラミングでは、コードを実行する前に「この処理で正しく動くかな?」と考える力が大切です。
- 「屋根を先に取り付けてしまうと、壁が組めなくなってしまうかも…」
- 「ドアを最後につけたほうが、出入りしやすくて作業しやすいな」
このように事前にイメージできると、やり直しを防いだり、スムーズに進行したりできます。
この力は、スケジュール管理や試験勉強の計画などにも大いに役立ちます。
4. 物事を抽象化する力
4つ目は、具体的な作業から共通の本質を見出し、シンプルに捉える力(抽象化)です。
たとえば、基礎作りという作業には、実際にはさまざまな細かい作業が含まれますが、それらを「基礎準備」というひとつのまとまりとして考えることで、全体像をシンプルに把握できます。
- 土を均す
- 水平を確認する
- コンクリートで固める
これらをまとめて「基礎を準備する」という1タスクに抽象化することで、全体の流れが見通しやすくなります。
この力があれば、複雑な作業を整理したり、説明したりするのがうまくなり、人とのコミュニケーションやチーム作業でも力を発揮します。
指導の現場では、新しく学ぶコードの考え方を、以前に扱った別の教材の操作と共通する部分として説明されたことで理解が進んだ事例や、文字列や数値を別の値に置き換えても同じ仕組みで動くかどうかを自分で確かめていた事例が見られます。
個別の記号や数値ではなく「仕組み」として捉え直そうとする場面がうかがえます。
「前に習ったことと同じだね」と気づけているかどうかが、抽象化の芽生えを見るひとつの目安になります。
5. 物事を一般化する力
最後に紹介する力は、「学んだ経験を別の場面に応用できる力」です。
あるプロジェクトの進め方を身につけると、それを他の場面でも活かせるようになります。これは「再利用可能な思考パターン」とも言えます。
- 犬小屋を作った経験を活かして、鳥小屋、キャットタワー、ガーデンシェルターなどにも応用できる。
- 「組み立て作業の流れ」「素材の調達と管理」「設計図の作り方」などのノウハウを、全く別のプロジェクトにも活かせる。
1つの経験から学んだ「型」を他でも使えるようになることが、プログラミング的思考力の醍醐味であり、大きな武器となります。
授業の様子として、前回学んだ内容を土台に応用問題を自力で解いた事例や、細部の記憶があいまいな部分があっても学んだ型を組み合わせて新しいプログラムを組んだ事例が記録されています。
学んだことをそのまま再現するだけでなく、別の課題に当てはめようとする姿勢が観察の対象になっています。
「前と同じ書き方をここでも使ってみよう」という発想が出てきているかが、一つのポイントです。
プログラミング的思考力は誰にでも役立つスキル

プログラミング的思考力とは、単にコードを書く技術ではありません。
それは、「目的を達成するために、どんな手順で、どんな順序で、どうやって効率よく実行していくか」を論理的に考える力です。
- 問題を小さく分けて考える
- 正しい順序を設計する
- 結果を予測する
- 本質を見抜いてまとめる
- 経験を応用して再現する
こうした力を身につけていくことで、プログラミングだけでなく、学習、仕事、人間関係などにおいて
「問題が起きても慌てず、順序立てて解決していく」「より効率的に目的にたどりつける」
といった力が養われ、さまざまな場面での問題解決力が高まります。
「プログラミング的思考力」は、これからの社会でますます必要とされる「生きる力」と言えるでしょう。
プログラミングを学ぶこと自体も、この思考法を育てる近道になります。
まずは身近な作業から、「順番を考えてやってみる」「分解して考えてみる」ことから始めてみてはいかがでしょうか?
「プログラミング的思考」は将来の仕事でも超使える

プログラミング的思考力というと、「子どもが学ぶもの」「エンジニアだけが使うもの」といったイメージを持たれがちです。
この「プログラミング的思考」と呼ばれる思考力は将来的にも非常に有効で、あらゆる業務の中での応用が可能です。
今回は、仕事でも実際に活かせる「プログラミング的思考力」の活用例を紹介していきます。
1. 会議の議題整理 = 分解と構造化の力
会議での議題作成や議論の進行がうまい人は、話題を細かく分解し、整理・構造化して提示する力に長けています。
たとえば、漠然と「新商品開発について議論しましょう」と言われるよりも
- 現在の市場分析
- 競合商品の動向
- 顧客ターゲットの明確化
- コンセプト案の検討
といったように、段階的に話題を整理されていると、話しやすく、論点も明確になります。
これはまさに「プログラミング的思考力」における「分解」と「構造化」の考え方といえます。
複雑な物事を細かい要素に分け、それを意味のある構造に再構成する力が、会議の質を大きく左右します。
2. タスク管理 = 抽象化と再利用の力
「いつもやっている業務を効率化したい」
「同じような作業を何度もやり直している」
そんなときに役立つのが、プログラミング的思考力における「抽象化」と「再利用」です。
例えば、営業活動の中で「初回訪問→ヒアリング→提案→フォローアップ」というプロセスを何度も繰り返す場合、これらをテンプレートとして整理しておくと効率が大幅に上がります。
メール文面や資料構成なども、一度整備してしまえば状況に応じて使い回すことができます。
これは、プログラミングでいう「関数」や「クラス」を作って再利用する考え方と非常によく似ています。
仕事の現場では、「自分なりの再利用可能な業務パターン」を構築することで、作業効率と品質の両立が可能になります。
3. 企画書作り = シミュレーションと構成力の応用
説得力のある企画書を作るには、「もしこうなったらどうなるか?」という視点が欠かせません。
これはまさに「シミュレーション力」の発揮どころです。
リスク、コスト、時間配分、顧客の反応、競合の動きなど、あらゆる要素を仮想的に考慮しながら企画を練ることで、現実に即した提案ができます。
また、企画書をどのような構成でまとめるか、どの順番で情報を提示するかという点でも、「論理的な流れの設計」が重要です。
これはプログラムを書くときに「どの処理を先に実行し、次にどんな分岐や繰り返しが必要か?」を考えるのと同じです。
将来の「思考の質」を変える「プログラミング的思考力」

プログラミング的思考力は、けっして特別なスキルではありません。
むしろ、日常の業務で何気なく使っている思考パターンを、より明確に・再現可能にするための考え方です。
- 会議=分解・構造化
- タスク管理=抽象化・再利用
- 企画書作成=シミュレーション・順序設計
これらの仕事の基本を、論理的かつ戦略的に改善できるのが、プログラミング的思考力の強みです。
「プログラミング的思考力」はこれからの時代、将来にとっても大きな武器となります。
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